Organicstory

考えながら生きるより、感じて成長していきたい。

あたらしいかぞく



さっきまでいっしょに


遊んでいたはずなのに

よこたわって うごかない

だんだんかたくなっていく

冷えていく、



そんな”かたわれ”の上にのっかって

小さな いのちは

なにを感じていたのかな

小さな意識は なにをとらえていたんだろう









真夜中の11時過ぎ。


海と民家を挟んだ、ひろい道路のまん中に、


”しろいかたまり”を




ゆっくりはしった 車のライトが

とらえたら




「あー…、こねこだ、 轢かれてる、」



みないように目をそらそうと思ったけど、

その”かたまり”から かすかな うごき。






グロテスクなのはいやだけど、


それを認識してしまったら

目をはなさずにはいられなくて、





「2匹いる…生きてる、」



それは道路のどまんなか。

おおきくカーブして、いったん避けて ろかたに停車。


ふりかえって、おりて、走って、



後続車はライトを光らせせまってくる




幸い、みんなひくい速度で 仔猫たちを

よけるように去っていく




まっくらな暗闇のなか

そのたび目をとじて、からだがぎゅっと、縮こまるほ

どの緊張感、




車がとぎれて


ダッシュで”かたまり”めがけて 走っていく

だんだんと、明らかになるシルエット




よこたわった亡骸に くっついたまま離れない

おおきな耳をピンとたてて 目を丸くした


きょとん、としたかお



すぐさま首根っこをつかんだら、

停車場所までまた猛ダッシュ




身体中はキズたらけで

耳のうしろは車のオイルで汚れてる





まっくらな暗闇、かたいコンクリートのうえ、

身体中のいたみ、たかる虫

行き交う凶器、突然やってきた孤独、





あんなちいさなからだは

それらを一身に受け止めていて

何台もとおる 車のライトに照らされていた



それは、見たことのない たくましさ






「おいてけぼりを くらっちゃったんだね。」


「これからヨロシクね、」


f:id:thokokoko:20200719182135j:plain